もうトマトだけでいいよな

プランター利用における永田農法を基本としたトマト栽培メモ

「作物と土をつなぐ共生微生物」×永田農法

私は、悩んでいた。

 

トマトに私がしてあげられることは、他にないのだろうかと。

 

本屋の園芸コーナーにある本はとっくに一通り目を通していたので、関連の専門書でもないかしらん?と近くの本棚を見ていると、目を引くタイトルがありましたぞよ。

 

「作物と土をつなぐ共生微生物~菌根の生態学」である。

新しい予感がピッコン!(川上未映子っぽく言えばね)

 

 

 

この本は、1987年発行と、なかなか古い本であったのだが、土壌内で「VA菌根菌」というのもが、植物と共生し、よい影響を及ぼすことだけは理解。

 

家に帰って、早速、ネットで調べてみると、現在は「アーバスキュラー菌根菌」と呼び名が変わっていることが判明。VA菌根菌の「V」が外れて「A菌根菌」になったらしい。日進月歩よ。

 

その効用とは!?

 

①根に関わる病原菌を寄せ付けない

②根が届かない範囲にまで菌糸を伸ばし、栄養分(リン酸、ミネラル、水分等) を根まで送ってくれる

③土壌乾燥に対する耐性が高まる

④夏場(高温時)における光合成活性の低下が緩和される

 

などなど、いいことづくしなり。

 

アーバスキュラー菌根菌は、植物が光合成でつくった糖分をわけてもらって共存しているというが、共存というだけあって、植物が枯れてしまうと菌根菌も死滅してしまうようだ。

 

こんな素敵なパートナーではあるが、土壌のphが高すぎたり低すぎたり(pH3~9程度が良い)、通気性や排水性が悪かったり、肥料(特にリン酸!)や農薬を多く使用されている土壌では、菌根菌が共生しない性質があるようで、一般的な農場では、ほとんど菌根菌の共生は見られないという。

 

よく、「なんでこんなところに?」って、ひょっこり自生した野菜は環境の影響を受けづらく、生命力が強いといわれるけれども、それは、この菌根菌と共生できているからなのではないかしらん?と思ったり。というか、菌根菌に取り付かれている私の脳では、そうとしか考えられん。

 

ビバ!菌根菌!

 

はるか4億年前、海から陸地に植物が移住?してきた際にも、菌根菌の力添えがあったっていうし、もはや菌根菌と共存していない農園にクエッション。

 

といわけで、早速、菌根菌を購入してみようと調べてみたが、すでに定植しちまってる苗にアーバスキュラー菌根菌を定着させるのは、大変そうだ。

 

本来は、定植時に、根に直接、菌根菌資材が触れるように処置するのがベストのよう。そうすれば、菌も根の成長とともに増えていくので、少ない量で効率的。

 

 そうも言ってられないので、水に混ぜて与えるタイプの菌根菌資材はないものかしらと探していると、ありましたゾ!

 

 

PROTOROOTS社「ミコリーザダッシュ(草花用)」である。

水に混ぜて、与えるだけの簡単手間いらず。

 

菌根菌以外にも、土壌微生物を活性化させる有機バイオ活力剤も入っている。

 

有機バイオ活性剤の中身は、ケルプ抽出成分(北海の深海に自生している海藻で、窒素・リン酸・カリ等の各種ミネラル、ビタミン、アミノ酸が豊富に含有)、フミン酸、ビタミン類、アミノ酸イノシトール・サリチル酸等・・・とまあ、1回分の液肥の代わりに施肥すればちょうどよさそう。

 

早速購入し、通常の液肥を与えるタイミングで「ミコリーザダッシュ」を与えてみたものの、効果が現れるのは2週間後。

 

比較対象がないのでなんとも言えまへんけど、できることは、なんでもしてみようと思うのです。

エムソン 日本育ちの黒いトマト(中玉) 2012年6月30日現在

表題の「エムソン 日本育ちの黒いトマト」で検索されている方がいたので、参考までに、うちの生育具合を載せておこうかと。

 

以下、徒然なるままに。

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中玉は2鉢育てていて、いずれも4月27日に定植したもの。

根本から頭の先までの高さがそれぞれ 85cm、95cm程度。写真は85センチのトマト。

 

いずれも、下の2段に4~6cmくらいの実が、1段につき3~4個ついている。

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実の上半身は、濃いグリーンベースがでているけれども、まだまだ赤くなる気配なし。

 

6月中旬頃に来た台風で、3段目の花ががっつり飛ばされ、1~2の花しか残っておらず、現状、4段目の花芽がぼちぼち大きくなってきたかのぅ・・・といった具合。

 

台風の日には「トマトを部屋の中に避難させるか否か」で嫁と大喧嘩(怒)したことは、どうでもいいか。

 

ちなみにその際、ぽっきり折れた枝が数本あったが、「折れても、テープでぐるぐる巻いて固定すれば、ひっつく」とどっかで読んだ気がしたので、すがる思いで泣きながら実践してみたところ、トマトの生命力に胸キュソ。翌日、まるで何もなかったようにそこにおったよ。

 

テープだけで不安定な場合は、ビニールひもで折れた箇所が動かないように柱に固定するのがよいかと。

 

考えたら、挿し木とかできるんだからね。人間様では絶対無理だけど。

 

いよいよ最近(この2週間くらい)は、実の肥大に力を注いでいるためか、それ以外の成長が止まっているかのよう。

 

うちは、直射日光が10時半頃までしか入ってこないのだが、強い日差しで実が完熟する前に葉が痛まないかが目下の心配。

 

トマトは、7万ルクス以上の光量は必要ないとされているようで、それ以上の光は、却って葉を焼いてしまい傷めるらしい。

 

今の季節だと、すでに晴れた日の直射日光は、10万ルクスを超えるわけで、どうしたものかと。日光の調整は難しいですな。

 

先日、照度計を買ったので、うちのベランダの光量を、時間別に測ってみるつもり。

 

それについては、また他日!

 

「高風味・無病のトマトつくり」を通して、永田農法を考える

風邪が治らず、ぴよぴよ。そんなことはさておき、前回のつづきをば。

 

養田おぢさんのトマトと、永田農法のトマトには、共通点ありあり。

 

ありあり①「<うまい根>を大切にしている」

上層20センチあたりまで、細かい根が多く張っているのが養田トマトの特徴とのことだが、これがトマトの味(風味)と栄養を豊かにする要らしい。

 

この細根を「うまい根」と表現された方がいたと養田のおぢさんは言っているが、これはどう考えても、永田照喜治さんのことだよね??

 

ありあり②「茎に長い毛、強烈な匂い」

長い毛は、乾燥状態において茎の表面から空気中の湿度を取り込む能力が引き出された形であり、害虫が嫌がるとされる強烈な匂いも、トマト本来の「生体防御機構」が目覚めたと考えられる。

 

いずれも永田農法と同じく、小灌水、小施肥の管理が野生の力を発現させるようだ。

 

ありあり③「生育に時間をかけている」

養田トマトは、光線量の少ない時期に栽培しているが、生育に時間をかけることによって補い、糖を稼ぎ出している。

 

露地ものトマトが肥大にかかっている日数が40日~45日に対し、養田トマト(ハウス)は100日~120日。倍以上の日数をかけているのだ。

 

上記②と同じく、小灌水、小施肥の管理をすることによって、ゆっくり育てることができる。これは、永田農法も同じ。限られた太陽光での栽培を強いられるベランダ栽培には、やはりじっくり時間をかけて育てる永田農法はぴったりということか。

 

しかし、読んでいく中で、永田農法との決定的な違いもあった。

 

違い①「断根について」

永田農法は定植の際に断根することで刺激を与え、強制的に細根を生えさせ根の量を増やすが、養田農法では、断根を否定している。

 

断根して根の量が多い苗ほど、定植してから初期の育成は旺盛だが、四段果房、五段果房が肥大する時期になると樹勢が衰えてくると養田のおぢさんは判断しているからだ。

 

直播したトマトは、けっして根の量は多くないが、四段、五段が肥大する時期になっても樹勢は衰えてこないという。量より質が大切だと。

 

個人的な推測であるが、苗を業者(ホームセンターとか)から購入する場合、購入先にもよるだろうが、苗が厳しい環境で育てられているとは考えずらい。その場合は、定植する際に断根をしなければ、苗が自分で「うまい根」を張る力が呼び起こされないのではないかと思う。

 

養田のおぢさんも、苗づくりの大切さをコンコンと語っているが、徹底的に水分と肥料をしぼり、芯と床土の温度差が少ない低温管理をした苗でなければ、「根優先生育」を苗が覚えないという。

 

 つまり。

 

根力のある苗を育て断根しない > 購入してきた苗を断根する > 購入してきた苗を断根しない

 

といった具合だろうか。

 

違い②「土壌環境について」

 これはプランター栽培にはあまり関係ないが、拾える要素はあるので、記しておく。

 

養田農法の「畝(うね)」は、不耕起不作うねである。つまり耕さない。

そもそも、トマト栽培でよく見られるこんもりとした畝の利点とはなんであろうか?

 

まず第一に、水はけをよくすること。灌水をコントロールできるハウスではそれほど問題にならないが、露地栽培では、セオリーというか、必須とされている。通常、畝の高さは10cmほど。永田農法では、30cmもの高い畝が求められる。

 

第二に、通気性が確保されること。プランターでも、底に石を敷いて通気性を確保するが、根が育つには、酸素が必要。特にトマトは、根の酸素要求度が高いのでなおさらだ。

 

第三に、地温を上げることができる。太陽の光があたる土壌の面積を増やすことで、地温が上がる。特に、寒い時期には有効。

 

そんな、こんもり畝(高畝・平畝)を捨てて、なぜ養田さんは「不耕起不作うね」にたどり着いたのか。

 

はじめ、養田おぢさんは、セオリー通りの高畝を採用していたものの、畝の肩の部分に張った根が日中の高温、朝方の低温にさらされ、さらには畝が乾燥しやすく、障害を受けやすいと考えた。

 

では!と、今度は畝を低くし、さらに肩の部分を削り、横から見て△になるような畝をつくった。日光が直角に当たり、地温が上がりやすい長所を生かしつつ、低い畝で水分状態も安定すると考えたからだ。

 

しかし、だんだんと養田さんには感じるものがあった。人工的に灌水した水分よりも土中深くから自然に上がってきた水分のが好ましいのではないか?そこで、畝を盛ることをやめ、平畝にし表面を鎮圧した。毛管水が地表近くまで上がってくるだけでなく、表面からの水の蒸散も抑え、乾きを防いだのである。

 

ここにきて、高畝・平畝の利点である地温上昇の利点を捨てたかと読んでいて思ったのだが、違った。表面を硬くすることで、地中と地上間の熱の行き来を防ぎ、一定の地温を確保することにつながったのだ。さらに、通常、灌水すると地温が下がってしまうのであるが、それもない。

 

すばらしいじゃないか!

 

最終的には、雑草退治のため浅くロータリーをかけ、その後、麦踏ローラーで鎮圧するだけで耕さない「不耕起不作うね」にたどり着いたようだ。苗を定植する際には、ドリルで穴を開けなければならないほど、地表は固まっている。しかしこの方法が、最も水分と地温を安定させ、さらに土の硬さがトマトの根を鍛えることになったというのだ。

 

最後に養田のおぢさんはつぶやく。

「これまでみんな苦労してうねを立ててきたわけだから、馬鹿みていたのだと思う」

 

ちなみに、ここにきて思い出したのだが、日本一とも謳われる狼桃トマトも、定植時にはドリルを使っているという。案外、狼桃トマトは、養田農法に近いところにあるのかもしれぬ。

 

一方、永田農法であるが、そもそも液肥を与えて管理することがキモなわけで、養田農法と畝が異なるのは当然か。永田農法は、水はけ命だもの。

 

養田農法を永田農法に生かせるところを考えてみたが、

 

①根を外環境から守り、痛めない。

養田のおぢさんが高畝をやめた理由がこれであったが、プランターでも、浅植えしていることもあり、表面に根が見え隠れしてくる。そこでやっぱり役立つココヤシファイバー!これでマルチングすれば、大分、違うと思う。

 

②プランターの底から水を与える。

これは、プランターの種類にもよってくるだろうが、私の使用しているもの(アップルウェアー社 / 楽々菜園シリーズ 15L丸型)はプランターの下側から給水できる仕組みになっており、なんとなくの実践は可能。

 

ただ、プランターという限られた土壌スペースの中で、どこまで効果があるのか要検証といったところ。下から水を与えることで、より下に向かって力強い根は伸びていくだろうが、上層部のうまい根が重要であることを考えれば、上からは湿らす程度の液肥(500ml程度か)を与え、あとは下からの灌水で力強い根の発育を促すのはどうだろうか。この場合、真下に伸びる根を定植時に断つのは避けたいところ。もう少し検証して、来年、比較してみるつもり。

 

③「根優先生育」の苗を育てる

これは、この本を読んで一番ショックだったところ。「苗の時代にトマトの一生が決まる」という養田のおぢさんの言葉に触れたときは、くらくらしてしまった。買ってきた苗が、そんな厳しい育て方をされているはずがない。。。

 

今年のトマトを収穫したら、採種して、立派な苗を育てよう!と心に決めた6月。

 

育苗については、また他日。では!

「高風味・無病のトマトつくり」で、おいしいトマトについて考える

この1週間、風邪の症状は悪化するばかりで、なかなか治りそうにもないのだが、トマト熱も、これまた、まったく下がる気配がない。

 

そんなわけで、暇さえあればトマト栽培についての情報収集をおこなっているわけなのであるが、今回は、養田昇さんの本「高風味・無病のトマトつくり~不耕起でPeSP苗の力を生かす~」を読んでみた。

 

 

まず最初に皆様に訴えたいのは、この本を書いた当時、養田昇さんは70歳にしてなお、第一線で活躍しているトマトづくり50年の大ベテランであり、なによりも、飽くなき探究心で、試行錯誤しつづけてきた「トマト馬鹿」だということである。

 

養田さんは、ハウス栽培であり、9月まき、11月定植の越冬長期どり作型でトマトつくりをおこなっているのであるが、その中で、私の実践している「プランターで永田農法&ピンク農法」にも活かせそうだと考えたポイントをまとめてみた。

 

【収穫量と糖度について】

養田さんのトマトの糖度は7度前後であり、通常のトマトに比べれば高いほうであるが、8~11度程度になる永田農法トマトには、到底及ばない。

 

それでも、永田農法と同じく、ほどよく酸味があり、果肉のきめが細かく、味と風味は抜群だという。さらに収量も永田農法のように激減することもない。

 

つまり、養田農法トマトは、だれが食べてもおいしいと感じられるだけの糖度を確保しつつ、高いトマトの風味はそのままに、収量も確保できる高レベルなバランス型農法ということですな。

 

前回、「狼桃トマト」を食べた時にも感じたが、糖度がめちゃくちゃ高くなくても、酸味もあって果肉もぎっしりしていれば、私はすごくおいしく感じられるのであって、私は経済的な舌の持ち主でよかったなあ。と思ったりしたものだが、どんな方針でトマトを育て上げるか、まずは自分のトマトに対する好みを知る必要があるということだ。

 

私は、大学時代、陶芸研究会に所属し、茶道で扱うような茶碗ばかりつくっていたのであるが、陶芸家に弟子入りしていた先輩が、「なにが良いものかわかるまでは、つくっても意味がない」というようなことをその陶芸家に言われていると聞き、たしかにその通りだなあと、妙に腑に落ちたことを思い出したり。

 

トマトつくりも、その人の考え方が詰まった作品みたいなものなのだ。私も、思い通りのトマトがつくれるよう頑張りたい。

 

ということで、その養田農法から学んだプランターでもいかせるノウハウは、次回まとめよう。なんだか目が疲れてきた。

ピンク農法×永田農法のコラボに挑戦!

我が家のアパートのベランダは、ほぼ東向きの3Fに位置しており、6月中旬の時点でも、日照時間が日の出から午前10時半頃までしかない。

 

トマトは日照時間が短いと成長が著しく阻害されるらしいが、いかんせん、そんな理由で嫁が引越しに同意するはずがなく。

 

他にも、私と同じような悩みがある人は沢山いるだろうと思い、インターネットで検索してみたところ、目に飛び込んできたのが、この「ピンク農法」である。

 

正式名称「光変換光合成促進農法」!!

なんだか、頼りがいがあるネーミング!!

 

そもそも、植物は、なぜ緑色なのか?

 

光というものは、その波長帯によって様々な色を有している。

 

「赤、オレンジ、黄、緑、青、インディゴ、紫」と7色に見える「虹」を思い出してもらえれば、わかりやすいかと思う。

 

実は、植物が緑色に見えるのは、光合成に利用する「青色」や「赤色」などの光をよく吸収するのに比べ、「緑色」の光はあまり吸収されず、多く反射するためなのだ。

 

つまり、植物にとって効果的に光合成をおこなえる光の波長帯があり、その波長帯を増幅させる農法が、「ピンク農法」なのである。

 

販売元のHPから引用するが、「光合成を促す赤色帯の光を、赤い蛍光染料で着色したフィルムやネットを使って植物の光合成に必要とされる、長波長域の光エネルギーに変換・増幅し、植物の育成を促進する」ことで、植物の光合成を効率的におこなえるようになるのだ。

 

SUGOI !!!!!!!

 

HPにはトマトに使用した際のデータが掲載されていたので、参考までに。

 

リコピン】 従来法 6.42mgs→ ピンク農法 7.91mgs

【糖度】 従来法 5.5→ ピンク農法  6.1

 

さらに、25%短期収穫、重量1.7倍、鳥獣虫の忌避効果までもあるという。

 

SUGOSUGIRU !!!!!!!

 

 といことで、早速購入。

 

 

 

1m分の切り売りで、2,100円と割高だが、仕方ない。

なんといっても、私はトマトに夢中なのだ。

 

2m分購入したものの、どのようにベランダに取り付けるのかが問題。

 

考えた末、ピンクシートを適当な大きさに計って切り離し、端を二つ折りにしてハトメをつけ、強度UP。

こんな感じですね。

 

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ハトメセットは、ホームセンターにて2,000円くらいで購入。

ハトメは、真鍮製とアルミ製があったが、強度が強そうな真鍮を使用。

 

あとは、100円均一で買ってきた洗濯ロープとベランダの手すりにヒモを通し、くくりつけて終了!

 

完成はこんな感じ。

 

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素人にしては、悪くないんじゃないかしらん!

 

「ピンク農法×永田農法」のコラボが完了なり。

 

ふふふのふ。

野生派トマト狼桃(おおかみもも)を君は知っているか!

「野生派トマト狼桃(おおかみもも)」のネーミングを見たときは、中学生の男の子が好みそうな名前だなぁと単純に思った。

 

「刺激的で、人の目を引きそうな、格好の良い名前だろ?」といった、言葉のドヤ顔。そこに本質はあるのか否か?

 

気になってHPを調べてみると(まんまと先方のネーミング作戦にひっかかった!)、「狼桃」は、あの分類学の父、カール・フォン・リンネさんがトマトにつけた種小名  「lycopersicum(ギリシャ語で、lycos '狼' + persicos '桃')」に由来しており、「そのまま名前にしたけど、何か?」系のネーミングであったことが判明。

 

しかも、あの三国清三氏の「オテル・ド・ミクニ」にも卸されていて、「日本一」と認められている究極のトマトらしい。

 

栽培方法も興味深い。説明を見ると、「 トマトの原産地、アンデスの厳しい環境に限りなく近づけて栽培し、トマト本来の野生の力を引き出して」栽培したとある。

 

これは、私の実践している永田農法と同じ考え方ではないか!

 

さらに、土はドリルを使わなければ苗を植えられないほど固められ、水もほとんど与えていないというスパルタ教育!

 

そんな環境で育てられたトマトは、「糖度は9度以上あり、甘さだけでなく、酸味とのバランスがとれた本来の旨み」があるという。

 

そこまで言うなら、食べてみようじゃないか。ということで、早速注文しようとしたが、値段を見て驚愕。

 

商品代金 4,594円。茨城までの送料を入れると5,644円。

直径4cmくらいの小さいトマトが24個で!一個当たり約235円になる計算だ。

 

毎月のお小遣いでやりくりしている私としては、ダチョウ倶楽部でなくとも「殺す気か!」といいたくもなる。

 

しかし。

 

しがない借家アパートのベランダでトマト栽培をおこなっている私ではあるが、心は錦。「世界一のトマト」を目指すのであれば、「日本一のトマト」くらい食べておかないでどうする!と、「四万十川 『野生派トマト 狼桃』(小箱) 最高ランク『松』4,594円送料別」を無心で注文。

 

で、届いたトマトがこれ。

 

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ギュッと身がしまっているのが、見ただけでわかる。

 

横半分に切ってみたが、ほとんどジェルの部分がなく、種も異常に小さい。

種を採取して、育ててみようかしらと一瞬、チラリと思わないことも(たぶん)なかったと思うが、難しそうである。

 

かぶりついてみると、濃厚でしっかりした食味・食感。

 

やや尖った酸味と若干の青臭さがまず口に広がり、十分な甘みも追いついてくる。

皮はしっかりしているが、口に残るようなことは全然ない。

中身の食感は、ジェル部分が少なくて果汁も飛びちらず、実の部分をしっかり味わえる。

 

クール便で届いたのだが、常温にもどして食べたところ、酸味よりも甘みが立ち、よりフルーティな感じになったのも楽しめた。

 

普通にスーパーとかで売っている硝酸バリバリの桃太郎トマトしか食べたことがないような人だと、「これはトマトではない!うますぎる!」と驚嘆するのではないかしら。

 

ただ、もう一度、あの値段を出してまで食べたいかといえば、どうかな。

 

先日、1パック160円で購入した鉾田市農友会のミニトマトのほうが、もう一度食べたい気がする。

 

今回思ったのは、甘みと酸味、青臭さや食感など、色々な要素のバランスで「美味しさ」を感じるのであって、ある程度のレベルになると、後は好みの問題なのねってこと。

 

嫁なんかは、日頃から、それなりに美味しいトマトを食べていることもあり、「んー。たしかに美味しい。」という感想のみ。

 

食べさせがいがないね!嫁!

 

茄子と黒いトマトと私

野口勲・関野幸生著「固定種野菜の種と育て方」を読んでからというもの、固定種を立派に育て上げ、いずれは官僚か、総理大臣か、はたまたノーベル賞か、などなど、妄想広がるばかりであるが、ふと、いつものホームセンター、園芸コーナーを見ていると、「エムソン 日本育ちの黒いトマト 中玉」が売られていた。

 

これは、うちの子(ミニ)の、中玉バージョンではないか。ふむ。ふたつほどもらっていこうか。

 

ということで、嫁に(一応)相談(らしきもの)をし、「アップルウェアー社の楽々菜園シリーズ」の15L丸型プランターを2つと、苗を2つ、支柱に日向土と、もろもろ一式購入し、早速、定植。

 

なんとなく購入したこの「楽々菜園」プランターだが、貯水機能付きで、底から水を与えることができ、なにかと活用できそうな予感。

 

シンプルなものに心惹かれるのはつねだけれども、道具や特殊機能といったものにも目がない。

 

プランターをもうひとつ買おうかと嫁と交渉を試みたが、本気で怒り出す嫁を見てあきらめた私。

 

永田農法で、茄子も作ってみたいと思っていたのだけれども。

 

茄子って、もう、その存在が完璧に好きだ。黒く影を落としながらも、静かにギラギラとした存在感もあり、マティスの「茄子のある室内」なんて、机の上に置かれている茄子のころんとした表情をみていると、低温火傷のようにジワジワと、私の中に染み込んでくるような。

 

でも、もうトマトだけでいいよな。

 

せめて、茄子のような、存在感のある「黒いトマト」を育てようと誓ったのです。